[著書]愛なき世界(下)
[著者]三浦しをん
[発行]講談社(2021年11月25日)
植物以外には興味のない本村紗英は、自身の研究が最終段階に向かっていた。そんな時、何度も確認し慎重に進めてきたはずの実験に大きなミスがあったことに気づく。誰にも相談できず悩んでいたが、どん底から救ってくれたのは藤丸を含めた仲間だった。
本当に本村は植物に恋をしていることが改めて感じられた。実験対象である植物と人間を照らし合わせ、感情移入することは基より、そんな大切に思う植物のことをもっと知りたいと思うが故に実験対象にしていることに悩んでしまう。本当に好きだからこその葛藤だからこそ実験の失敗を自身の責任として責めてしまう。その時の藤丸の言葉に救われるのだが、本当は誰かに背中を押してもらいたかったのだろう。藤丸には酷な結果となったのだが・・・
松田教授の過去や岩間の恋愛など登場人物の人間模様も描かれているが、それも本村の感情の変化につながっており、ストーリーが進みにつれ成長し仲間との絆やお案じ価値観を持つ仲間の存在が感じられる作品となっている。
「愛なき世界」というタイトルであるものの、植物に感情がないということ以外は、登場人物は愛に溢れている。藤丸との恋の行方が気になるところだが、いつも明るく振る舞う藤丸自身が最も辛いのだと思う。本書ではライバルである植物にはまだまだ敵わないが、”愛なき相手”に是非とも勝利してほしいものである。https://www.book-life.blog/2024/11/blog-post.html
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