本のある生活~良書との出会い~: 「書評」決定版!一流の人、二流の人/中島孝志

2021年4月28日水曜日

「書評」決定版!一流の人、二流の人/中島孝志

決定版!一流の人、二流の人
[著書]決定版!一流の人、二流の人

[著者]中島孝志

[発行]マガジンハウス(2012年9月14日)

一流とはどんな人なのか、二流との違いは何なのか。一流と二流の違いをシンプルに解説している。何も難しいことをしなければ一流になれないのではない。もしかしたら、ほんの少し意識を変えるだけで、一流になれるのではないか。そう考えさせられる一冊である。

本書は6つの章から構成されている。各章の中から、感じたことや自身の考えを踏まえて振り返ってみた。

1.プロフェッショナル

この章での一流とは一言で言えば、考え方がポジティブ(前向き)だということだろう。とにかく前進し諦めない姿勢が周りを巻き込み、自身の成長にもつながる。私自身、特に共感したのは「”できない”と判断したとたん、脳はフリーズしてしまい、それ以上頑張って考えようとはしなくなる」という点である。私は仕事で「できません」はないと常日頃思っている。難しい仕事や困難な仕事はあっても、できないことはない。相手が求める答えにはならなくても、やり方を見直したり代替案を提案することもできる。要は難しい仕事を真剣に取り組むかどうかだと思う。できないと諦めれば(逃げれば)楽であるが、それでは何も解決しない。困難を乗り越えてこそ、達成感や成長を感じることができるのだ。ルーティン業務や定期的な作業であっても、例えば効率的な方法に改善するなど、工夫次第で仕事が面白くなる。せっかくなら楽しく仕事したいものである。

2.職場で活かす知恵

職場は家庭と違い、基本的に他人同士が集まって仕事をしている。従って、価値観の違いや考え方が異なるので衝突も起こる。組織の中では上司・部下という関係性から、ある程度の秩序が保たれているのかもしれないが、ハラスメントが叫ばれている昨今では、気を使い過ぎたり必要以上に接点を保たないことも多いのではないか。この章では人との関わり方が紹介されているが、その根幹は”何事もポジティブに捉える”ことだ。その中で私が共感したフレーズを紹介したい。

誰が指示しようと、誰が経営者や上司であろうと、仕事である限りきっちりやるという姿勢で取り組むこと。

ダメな上司や理不尽な上司もいるだろう。イエスマンである必要はないが、議論を尽くしてもなお、上司の意向が強いなら、多少自分の考えと違っていても上司の望む方向で仕事に取り組むべきだと私は思う。重要なのは自分の考えと違うからといって仕事を投げ出したり、手を抜くのは単なるわがままであり、社会人・組織人として責任感がない。組織にいる以上は上司の考えに沿って仕事に取り組むべきである。何より自分を評価するのはその上司なのだから。それでも納得がいかないのであれば、転職も視野に入れるべきだろう。(転職先で上手くいくとは考えにくいが)

3.人を惹きつける!ここがちがう!

仕事に学歴は関係ないと言われるが、実際には何かしらの”レール”がある会社もあるだろう。高学歴な人が全てそうではないが、イノベーションがなければダメだと本書でも紹介されている。

まともな仕事をするとき、一番重要な「考える」「考え抜く」「とことん考える」というプロセスが重要である

個々人の能力やレベルは異なる。何か仕事をするとき、達成度や完成度は異なってくる。それが求められているレベルではなかったとしても、そこまでのプロセスが大事なのだ。自分の持てる力を最大限発揮して、それでもダメなら納得できるし反省することで経験値も上がる。形だけ整った仕事は思いがなく、評価されることはない。そういう考え方を持っているとすれば、それは会社・組織にとってリスクだと著者は述べている。変わらないことは成長しないことであり、業績も上がらない。改革や変化はパワーが必要である。現状維持や保守的な方が楽だが、将来はないだろう。

もう一つ紹介したいのは「才能を開花させるには”人との出会い運”が条件」という部分である。これだけを聞くと、頑張っても運がないと結局ダメなのか?と感じてしまうがそうではない。確かに能力に関係なく人がいないから昇進したというケースもあると思うが、求められる人材には自然に人が集まってくる。決して運だけではないと思う。昇進などは特にそういう部分が大きのではないか。昇進は自分がするのではなく、周りから”させてもらう”のだと思う。能力がない人が昇進しても本人も辛いし、その部下も不幸である。

4.リーダー次第でこんなに結果が変わる!

リーダーの役割は何だろうか。会社の業績を上げること、仕事をミスなく進めること、部下のマネジメントすることなどその役割は多岐に亘るが、最も重要なのは部下育成である。自分一人の能力は大したことはない。自分の思う結果につなげるためには優秀な人材を育てるのが一番の近道である。能力がある人ほど自分の能力を過信し”何でもできる”と勘違いするものだ。

上司のいちばんの仕事は後継者を育てることにあります。自分以上の人材を育ててこそ力が評価されるのです。「ろくな部下しかいない」と嘆く上司は「自分には指導力がありません」と周囲に宣伝しているようなものなのです。

仕事に追われ時間がないと、どうしても自分でやってしまうことも多いだろう。私自身もそうしてしまうことが多々ある。振り返るとそんな状態の時、上司から「お前が仕事をするな」と指導されてきたことを思い出した。目の前の仕事に夢中になると周りが見えなくなってしまう。そういう時こそ先を見据えて取り組まなければならない。私は上司に指導されただけ幸せである。何も言われなくなったら終わりだろう。

5.利益より大切なものを優先する!

会社は利益を出さなければならない。そのためには常に利益につながる仕事が求められるし、損になることは極力しないことが通常の考え方である。ここでは”損して得とれ”と言っては語弊があるが、損得感情抜きに相手を思って奉仕すれば、結果的に利益につながることが紹介されている。相手を蹴落としてでも勝ちにいくことが必ずしも有効なわけではない。自分には何もメリットがなくても相手のためにつくすことで、信頼され末長く良好な関係を作っていくことが重要なのだろう。人は攻撃されたり嫌なことをされたりすると、ずっと忘れない(根に持つ)ものである。逆に良いことをされても忘れがちになることはないだろうか。そういう意味でも、相手に尽くすことを続けることに意味がある。仕事が順調なら余裕があり実践しやすいが、そうでなければ、なかなかできることではない。私はポイントはそこではなく、コミュニケーションや自分よがりにならないように意識することが重要なのだと思う。何も難しいことではない。そうすれば結果は自然についてくる。

6.自分をとことん磨き上げる!

タイトルからすれば、勉強や経験を積みスキルアップすると思われがちだが、そうではない。ポジティブに考えることが重要なのだ。人はプライドや見栄があるので、どうしても良くみられたい、失敗したくない、恥をかきたくない、プレッシャーは嫌だと考えるのは当然である。それを前向きに捉えることができる人は、一つの能力であり優秀な人材である。こういった意識を持つ手法がとても分かり易かったので紹介したい。

プレッシャーを「プレジャー(喜び)」に変換すると乗り切れる。そのコツは「せっかく」という枕詞をつけて仕事をすることです。「せっかくリストラされたのだから」「せっかく倒産したのだから」「せっかく病気になったのだから」・・・このひと言はネガティブ思考を追い払ってポジティブ思考を招き寄せる特効薬なのです。

佐々木常夫氏の「働く君に贈る25の言葉」で同じようなフレーズが紹介されていた。それは「それでもなお」という言葉である。どんなに辛いこと、納得いかないことがあっても”それでもなお”行動することで、成長し信頼され結果に結びつく。これらは知識・技術や才能の問題ではなく、意識・思考を変えることにある。これができる人が能力のある人だと思う。


仕事に限らず人は一人では何もできない。一人でできることは少なく、できると思っていること自体が二流だと思う。生きているのではなく生かされている。仕事しているのではなくさせてもらっている。自分ができたのではなく周りが優秀なのだ。自身はそういう意識を持つことこそ意識しなければできないが、知ることができただけでも成長できたと”ポジティブに”捉えたい。



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