[書籍]上司は思いつきでものを言う
[著者]橋本治
[発行]集英社新書(2004年4月21日)
タイトルに隠された著者の思いが読むほどに伝わってきた。様々な事例やたとえ話を盛り込んで書かれているが、返ってわかりづらい面もある。私なりに「思いつきでものを言う」こととは何かを考えてみた。
始めにこの本のタイトルを見て”組織の批判”について書かれた書籍なのではないかと思っていたが、早々にそうではないことに気づかされた。上司に限らず、思いつきで発言する人は大勢いる。それはその時の状況や立場によって様々だが、何か前に進めようとする時には”思いつき”があって然るべきだと思った。思いつきの中に良いアイデアや改善策が生まれるのである。ただし、単純に思ったことを言うのは「本当の思いつき」であり、良い思いつきとは、しっかりと情報収集し、勉強し、準備した上での”思いつき”なのだと思う。著者も「アイデアも思いつきも同じもので、形にするための足掛かりの一つ」と述べている。
現在、私も”管理職”という立場で仕事をしている。本書で考えさせられた一説を紹介したい。
上司とは部下を「指導」するものであり「命令」するものではない。指導するだけでよい部下は有能な部下であり、命令しなければならない部下は無能な部下である。命令するということは部下を無能と考えているのである。部下が無能とならないように指導する必要がある
上司として仕事を進めなければならない責任感から、部下に対して「命令」してしまうこともあるだろう。それによって部下からの信頼をなくし相談されなくなり、更には部下も成長することができない。結果として仕事も進まなくなるのではないだろうか。周囲から相談されなくなったら終わりである。
「思いつきでものを言う」とは、その意見が建設的であれ否定的であれ、あるいは保守的であれ改革的であれ、相手との思いの温度差だと思う。需要と供給・自分と相手・内部と外部など、対比することがある限り何らかの温度差は必ず生じる。温度差によってハッとさせられることもあれば、とんちんかんなこともある。仕事に限らず、コミュニケーションによる信頼関係がしっかりとできていれば、”どんな思いつき発言でも”よい結果に結びつくような気がしてならない。
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